売却エピソード
【今、知れて良かったです】
以前、お住まいのマンションをご売却頂き、新築の戸建てをご購入して頂いたお客様のお話です。
そのお客様との接点は、インターネットで掲載している新築戸建ての物件のお問い合わせからでした。
物件を見たい。との事で実際に見学して頂いたのですが、その時は奥様と小さいお子様のお二人だけで家を見に来られました。
家を見学して頂いている中で、奥様も気持ちが遠慮してなのか、あまり詳しく室内を確認されないので、「何かイメージと違う感じでしたか?」と尋ねると、「実はご主人には内緒で家を見に来ていて、今の家も持ち家だから買う事はない」という事でした。
「なるほど。でも折角見に来たのだから、しっかり見て頂いても大丈夫ですよ」と伝えると、安心されたようで、食洗器や窓を開けたと積極的に見て頂き、気持ちも楽になったようでした。奥様は今の家の話や、ご主人様の人柄やお子様たちが実は3人いる話など、色々と話しをして頂き、今の家も4LDKの広さがあるマンションで不満もなくご近所にも友達もいるので、引っ越す事はあまり考えてないという事でした。
奥様が最初の印象と随分違う雰囲気になられたので、奥様も喜んでもらえた。と思い私も嬉しい気持ちなりました。
只私は一つの疑問に思い、「今の生活に不満がないのに、何故、家を見に来たのですか?」と尋ねたところ、
近くに住んでいただけという事もあったが、今の家は長年住んでいるので、室内が少し荒れていて引っ越すほどの不満はないが新しい家に興味があるという事でした。
リフォームはしないのですか?と尋ねた所リフォームはしたいと思っているが、貯金もあまりないので諦めている。ローンを組んでも毎月の支払いが増えるので絶対にご主人から反対される。という事でした。
なるほど、しっかりご主人様も考えての事なのでしょうね。と私が伝えると、奥様は11歳年齢が離れているから、いつもお金の話を主人は聞いてくれないと。話してくれました。
私は、それを聞くと急に心配になりました。もう少し話を聞きたくなり色々と質問しました。
お子様の年齢やご主人様の仕事の内容、車の所有について、毎月の住居費、固定資産税のおおよその金額、など
奥様も私が急に色々と聞いてくるので、内心あまり良い気持ちではなかったと思います。
家を全て見た後だったので尚更そう思っていたと思います。
ただ、「私は計算してみないとわかりませんが、もしかすると、今家を買った方が良いと思います」と伝えました。
それを聞いた奥様は、強い口調ではないにせよ、私の事を、「やっぱり家を売りたいだけの押し売り営業マンだ」と思ったと思います。
奥様は「買えたら買うけど、うちは買えないから、無理です」という感じで直ぐに返してきました。
「わかってます。ただ私の方で資金計画を含むライフシミュレーションを作成させてください。それを見てみて、今後の生活の参考にして下さい」と私が伝えると、
奥様は「必要ないから大丈夫です」と断ってきたのですが、私も引かず、
「今、それを知る事でご主人様や子供たちの将来も少しは見えてくるので、無駄にはならないと思います」と伝えました。
人によっては、私の気持ちも伝わらず帰ってしまう人もいると思います。しかし、奥様も何かを感じてくれたようで、後日、ご主人様には今日の事は話せないので一人でお店に来て話だけ聞いてもらえる。という事になりました。奥様がお店でシミュレーションを見て話しを聞いてもらった後。
「今、知れて良かったです」と少し暗い表情で奥様が言いました。
「ご主人様に相談する勇気もない、でも伝えなければいけない」そういう表情にも見えました。
話を聞いた奥様は、資金計画から見ると今の生活を続けていく場合、高い可能性で生活が行き詰まる事がわかり、どうすれば良いか相談してきました。
奥様の気持ちが覚悟に変わった瞬間だと感じました。
私は「ご主人様と会って説明するので、一度会わせてください」
「大丈夫であればご自宅に私がお邪魔して話しても大丈夫です」と伝えところ奥様もご主人には伝えづらいが聞いてみるとの事で、その日は終えました。
翌日、奥様から電話が掛かってきて、「週末の土曜日に家に来て下さい」と連絡がありました。
土曜日の当日、はじめてご主人様とお会いした時の印象はニコニコして挨拶された笑顔の裏で私に強く不機嫌な空気を伝えて来た様子がわかりました。
ご主人様から後日談で謝罪の意味も含めて教えてもらったのですが、完全に奥様が変な不動産屋に騙されていると思っていたと話していただきました。
当時、私の目の前で、「お前は騙されているんだよ」と私にもはっきり聞こえるように奥様へ話しており、私もそれにはさすがに少し気が縮む思いだったので、わざと聞こえないふりをしてやり過ごしたのですが、ご主人様には私の気持ちはバレバレだったようです。
リビングのテーブルにつき私は気を取り直して、事の経緯と私の考え、作成したパソコンのシミュレーションの内容をご主人様に見て頂きました。
そうするとご主人様の顔色が段々変わっていくのがわかり、ご主人様からも質問がありました。
もう少し、貯蓄があった場合はどう変わるのか。収入があがればどうなるのか。
子供達の大学は奨学金で対応するとどうなのか。自分が先に亡くなった後、今の住宅ローンが無くなるから問題がなくなるのでは。
私はご主人様がお亡くなりになられたら、タイミングにもよりますが益々問題が大きくなります。と伝えました。
その日はお見せできるシミュレーションにも限界があるので、後日改めて提案する事になりました。ただ、最初に玄関先でお会いした時のご主人様の表情とは違い温厚な表情になっていたので、私にも気を許して頂き、根は家族思いの優しいご主人という事が伝わってきました。
そして、このご家族様は結果として、ご自宅のマンションを売却されて新しい家を購入して頂く事になりました。
住み替え時の自宅の売却のタイミングは特に大変難しく、地域性や場合によっては運の要素に頼る事が必要な場合があります。
不動産の売却は、近隣物件との比較になるので価格の粘着性はある程度あるのですが、
水物要素もあり市場のマーケティングとエリアの特性がわからないと中々良い金額で売れなく時間も予想よりも多く掛かる場合があります。
ただ、この時は購入したい物件が先に見つかっており、その家に住む事を最優先に
考えていたので時間もなく新たに組む住宅ローンの関係もあったので、お客様とお話しさせて頂いて期限を決めて順次価格の変更をする事。場合によっては相場よりも安くご自宅を売る方向も視野に入れて早期売却を目指しました。
最初にしっかりと資金計画を建てた事と家を住みかえる意味をお二人がきちんと理解していたので、相場よりも自宅を安く売る事の抵抗はなく、新しい家で将来の不安もなく生活できる事への安堵の方が勝っていたので、直ぐに販売戦略についてはご決断頂けました。
下取りでの買取りも視野に入れ保険を掛けていたのですが、幸い販売から1か月弱で直ぐに希望の金額以上で買い手がつきました。
全てが上手くいった取引だったので、勿論お客様も大変喜んで頂けましたが、私も安堵し大変嬉しかったです。
ただ、もし奥様が問い合わせをしなかったら、お店にくる事がなかったら、私とご主人と話せてなかったら、この取引はなかったと思います。
不動産との出会いはよく縁事だと言われます。
その縁を、掴むのか、待つのか、見逃すのか。運の要素も確かにあると思いますが、関わる人の行動で大きく結果は変わります。
アスカグループは不動産業界のプロとして様々な角度からお客様へ提案をし、その中からお客様の生活の安心に関わる役に立つ情報を提供したいと日々精進してきました。
この件は、お客様の行動あっての事ですが私たちの日々の繰り返しが、お客様の良いご縁を作るきっかけとなった一件といえるのではないのかと思い、私達も大変嬉しかったです。お話を聞いてくれた奥様とご主人様には大変感謝しております。